柵のむこう
柵のむこう / 感想・レビュー
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2000年の高橋睦郎の詩集。平明な言葉で語られる詩は、着古したコットンのシャツのように日常になじんで気持ちよく読むことができた。アイルランドがらみの詩が多いが、特別感もなく、休日の午後の白想のよう。それでいて世界のむこう側に飛ぶ言葉は、詩でしか味わえない世界観が楽しめる。『手紙/手紙を書く/きみに宛てて書く/だが/僕が書く時/手紙を読む明日のきみは/まだ存在しないし/君が読む時/手紙を書いた今日のぼくは/すでに存在しない/まだ存在しない者と/すでに存在しない者/とのあいだの手紙/それは存在するのか』
2019/12/21
岡部淳太郎
高橋睦郎が肩の力を抜けばものすごくよくなるという実例。『薔薇の木・にせの恋人たち』とか『汚れたるものはさらに汚れたることをなせ』とかよりも、個人的にはこっちの方がずっと好き。
2001/11/09
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