パーテル・ノステル「少年の科学」―鈴木秀ヲ写真集
パーテル・ノステル「少年の科学」―鈴木秀ヲ写真集 / 感想・レビュー
匠
鈴木秀ヲの写真作品集。宇宙や天使、磁石やルーペ、薬瓶や鉱石、プレパラートの標本、化石、貝殻などなど、理科室から持ってきたような材料をモチーフにコラボした作品が目を引く。インテリジェンスとユーモアが絶妙な配分で絡み合っていたり、無機質なはずなのにどこかあたたかみを感じる部分もあって、タイトルの「少年の科学」そのままの雰囲気はとても魅力的だ。もちろんこういった理系的なものは少女のものでもあるけれど、あえての少年らしさにすごく共感できた。ただ欲を言えばもう少しカラーの写真でも見てみたかった。
2014/01/18
Arowana
―文部省検定教科書『理科』を都合よくロマンティックに誤読した、一人の少年の観察記録(鈴木秀ヲ)― 本書の解説通りイノセントな魅力を表現しつつも、子供部屋や抽象画とも違い、空間的な秩序と無秩序のバランスがひそかに計算されていて、そこが僕には好ましかった。写真家鈴木氏のもつスタティックで上品な表現意識に思わず惹きつけられる。久しぶりにアートな本を顧みたことで心が落ち着いた気分に浸ることができてよかった。静物写真の魅力を再確認させてくれた「今日の一冊」。次なるミクロコスモスはジョゼフ・コーネル 。
2013/08/20
オシャレ泥棒
図書館 少年的ナルモノを求めて。うっとりするようなタイトルが並ぶ。タイトルは「有翼の天文学者」「星を覗く」「午睡する理科室」「移動遊園地」「アレクサンドリアの測量技師」「カメラオブスキュラ(暗い部屋)」「不眠症のメアリー・シェリー」「屋根裏部屋」「眠る鉱物」「南方からの便り」「メルカトルの球体収差」「キャビネットの中の水族館」、作品は「建築家のアトリエ」「やがて静かに化石となるだろう」「鉱物の体系」「もう飛ぶことのない翼」「叙事的地層」「水晶の囁き」が好き。
2016/06/03
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