マクロプロス事件 (八月舎・世界文学叢書 1)
マクロプロス事件 (八月舎・世界文学叢書 1) / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
カレル・チャペックの戯曲。300年以上も生きている女性エミリアが登場して、生の悲哀を語る。彼女は美しくて多くの男性を惹きつけるのが、エミリアに釣り合う男はいない。劇の中で長生きすることは幸せかという議論が出てくるが、簡単に答えは出ない。読みやすい翻訳で、自然な日本語に訳されていた。300年以上も生きると、当然退屈を感じるだろう。「何かもが無だ」と彼女は言い切る。それでも生きることに執着するエミリアが哀れだった。
2018/09/03
swingswimmer
宝塚「不滅の棘」の復習。序論とあとがきで強調されるように戯曲としては喜劇で、あらゆるイデオロギーから理想を語る男達は不死の秘法の責任を負うことを恐れ、それを燃やせるのは最も非力な少女クリスティナだけというのは時代背景を考えてもかなりの皮肉だと思う。男性と女性では16〜20世紀を30歳前後の姿で生き続けることの意味は相当違うと思うし(そして音楽はエミリアを救わない)、木村先生はヤナーチェク的な翻案をしたんだなというのが不滅と原作を比べての感想。知らないことがあるからこそ人は生きられるのかもと思った。
2018/10/29
刳森伸一
世代をまたがった相続を巡る長い裁判。その関係者に食い込む美人歌手エミリア、彼女は何者なのか…という戯曲。タイトルも意味深で、当初はどこに向かうかも分からないのだが、最後には妙薬による長寿やその独占の是非などを巡る哲学的な議論に行き着く。前半のミステリー仕立ての筋が哲学的な議論を喚起するための導入以上ではないところが少し残念ではあるものの、チャペックらしい思想と物語が楽しめる戯曲だと思う。
2019/11/12
びせんて
宝塚歌劇団、宙組公演の観劇下調べとして読む。 300年生きる秘薬だが、生者必滅、孤独と通じる。 桜の如くぱっと咲き、桜吹雪となりて散るのも人生。。。
2018/01/25
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