極東セレナーデ (小林信彦コレクション)
極東セレナーデ (小林信彦コレクション) / 感想・レビュー
踊る猫
エンターテイメント/娯楽の凄味を思い知らされたように思う。ここでは写真週刊誌の特ダネ至上主義も、日本人のアメリカ信仰もアイドル生成のメカニズムも、果てはチェルノブイリまで「ネタ」としてまぜこぜに飲み込まれて『極東セレナーデ』という一冊の本になってしまうのだった。「なんでもあり」でありながら決して「なしくずし」に陥らないところはこの著者の批評眼の鋭さを伺わせるが、いかんせんヒロインの魅力が立ってこない物足りなさも感じる。キャラが「駒」なのだ。その「駒」が小林信彦の意見を代弁しているという歪さが感じられもする
2020/10/08
阿部義彦
フリースタイル社の始めた小林信彦コレクション第1弾は新聞小説(朝日)の「極東セレナーデ」です。このシリーズ表紙が全て江口寿史さん素敵なイラストでお洒落な造り。たまたま私も信彦さんのファンでしたが運良くこれは未読でしたので、楽しんで読みました。業界とその中での人間関係そして裏切り陰謀などは「夢の砦(これは読んだ)」と共通ですがこちらは若い女性がアイドルになるシンデレラストーリーであっという間の読了です。作者はアイドルに関しては昔からの見巧者ですから面白くない筈が有りません。一生もの愛着の湧く本です買ってね!
2016/04/10
シーナ
いつも読んでいる小説とはタイプが全然違っていて、初めはどう読み進めていいのかわからなかった。途中から波に乗れて読みやすくなったけど、やはり全体的に目新しかった。利奈がとても冷静で賢くて同い年くらいとは思えなかった。シンデレラストーリーと、そこからの脱却。正直、原発の話をここで持ってくるのか〜と思わなくもなかった。昔に書かれたお話だけど、どこか現代的でもあったのが面白い。
2016/08/13
kokada_jnet
谷村新司の曲「極東セレナーデ」はこの本へのリスペクト? それとも偶然? http://recochoku.jp/song/S1001518136/ しかし、江口先生以外に人材いなかったのかな?
2016/05/27
まんだよつお
最高に面白い。マスコミ・広告業界を舞台にした、おしゃれで軽いノリの物語が一変する、終盤の展開。あの頃、誰がフクシマの今を想像できただろう。登場人物たちのその後を想像するのも楽しい。片貝と結婚、離婚し、実家の財力でベンチャー企業を立ちあげた比呂。環境問題活動家を経て大学教授となった片貝。NYで客死した瀬木。マスコミの底を回遊する木村。世界のホットポイントでその姿が目撃される行方不明のままの氷川。そして、利奈は…。硬派のライターとして活躍しているか、あるいは家庭に入り子育てに一生懸命の普通のおばさんか。
2022/07/08
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