アジアにこぼれた涙
アジアにこぼれた涙 / 感想・レビュー
nonpono
スラムの人々、出稼ぎにいくが夢破れたフィリピーナ、祖国を追われた難民、タイのニューハーフ、ゴーゴーバーの女の子、スリランカの孤児院などが舞台。1ページ、1ページの現実は重い。スラムの子は海外に行く夢を持つ。だが「夢がかなうことの方がつらいことだってある」という現実。だが筆者は言う。「夢は確かにもろいが、それとは別のところに幸せが生まれることだってあるのではないか」と。孤児院のシスターは言う。「人生には壁があるものなの。お金持ちでも、孤児でも、あなたでもね。」はっとした。血と汗と涙が流れる言葉に満ちていた。
2024/11/12
ヨクト
世界のどこにも人は生きていて、いろんな壁に囲まれて、その中で逞しくも儚くもある人生を歩んでいる。本書は著者の作品の中でも写真が多く、関わった人、その現地の雰囲気をより感じられる。ストリートチルドレン、売春婦、オカマ、物乞い、物売り。貧困の中であっても、彼らは生きようとし、謳歌しようとし、幻想に限りなく近い履かない夢を持ち生きている。その活力は日本以上なのではなかろうか。著者の戦争ではなく、難民を描く姿勢と心意気に揺さぶられた。
2013/09/30
スー
すらすら読めるのにいろいろと考えさせられました。筆者が旅をして出会った一生懸命に生きている人々との話で、どんなに貧しくてもどんなに辛くても諦めずに誇りを持ち夢を持って生きていることに感動しました。そして、助ける事がいかに難しく下手をしたら人を傷付けてしまうかを想い知らされました。最後に登場するシスターと孤児達を見て気付かされました。人は生まれる国も環境も選べません。しかし、そんなどうしようもない状況でも、どう生きるかは選べる。戦争で傷付き親を失って辛くても、踊りながら笑顔で歌う彼女達に勇気づけられました。
2017/01/20
mari
中に入り込んで人々ともに過ごす中でのルポは上っ面ではない迫力がある。絶望の中にも人々の希望は必ずあり、それらをとても丁寧に大切に文字にされているな、という印象です。これからも石井さんのルポは読み続けたいです。
2015/03/27
kawa
石井氏の現地の生活に溶け込んで、現地の人々の視点でものを見、考えるという姿勢に惹かれて、彼の著作を追っかけている。本書は彼の姿勢の原点となるような内容。10本の優れたドキュメンタリー映画を続けて観た気分。堪能した。
2015/06/16
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