つげ義春漫画術 下
つげ義春漫画術 下 / 感想・レビュー
gtn
主に「沼」以降の作品について、作者が当時の心象を語る。後世に残る作品は、案外いっときに量産されることを知る。また、「ねじ式」における眼科の看板や、「ゲンセンカン主人」に登場する中年男等に対する評論家の深読みを迷惑がっているのも面白い。個人的には、「通夜」の遺体が実は「生きている」という作者の告白に裏をかかれた。おかげで、同作品読了後、別の余韻を楽しむことができる。
2020/12/13
内島菫
『月刊漫画 ガロ』以降の作品について、つげ義春自身が細かい点にも触れており、つげ義春論を書く前に読まなくてよかったと感じた。評論は作者の意向に従う必要はないし、むしろ作者以上に作者が分かったかのような読みのひらめきが必要だと思うからだ。つげは繰り返し、どんなに自伝的に見える作品でも意識して作って描いているし、もっともらしくウソをひねり出す=リアリティを持たせるのが面白いと語る。小説よりも下に見られがちなマンガだが、逆に、ストーリーや絵柄を考え、キャラクターを作り、コマ割りや構図を練り、
2019/10/22
Nepenthes
インタビュー形式による、つげ義春先生自身による作品解説。会話の中に現れる哲学や世界観がとても面白く興味深い。ガロ時代の濃密な作品群、そしてどこか空虚な作品が頻出するガロ以降。旅ものを描いていた頃、日常の中に浸かるようになった頃、一つ一つ解説している。あの世から見たらこの世こそがあの世とか、自分を動かしているのが本当の自分、というような観念的な感性が独特の雰囲気を醸し出す作品の秘訣なのだろう。
2023/12/10
yoyogi kazuo
すべての自作について年代順に語った貴重な記録でファンのみならず万人にとっての必読書。このインタビューからさらに三十年が過ぎてもつげ作品の魅力は失われないどころかますますドス黒い輝きを増し続けている。
2023/02/19
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