村上春樹論集 (1) (Murakami Haruki study books 1)
村上春樹論集 (1) (Murakami Haruki study books 1) / 感想・レビュー
ケイ
批評家なんてさ、まったく…、勝手に語っておいてくれよ、やれやれ。という、村上春樹の言葉が聞こえてきそうだ。加藤氏の文章がややこしいのは、手放しでは褒めないからだ。村上春樹を批判する人達を分析し、中立の立場で擁護するようでいながら、結局誉めずに終わる。『…において、村上は成功していない』なんて表現が随所に見られるのだ。彼の批評が興味深く頷くところもたくさんあるのは事実だが、そんなに頭でっかちにならなくても、と思う。それが批評家たるものかもしれないが。
2015/06/02
ころこ
初期の単行本に収録されている村上春樹の批評を集めたアンソロジー。宇野常寛の方が明快でシニフィアンは優れていると思う。だが、加藤の論は、村上が未だ誰とも分からないほぼ無名の段階でその都度、書かれている。率直に言って、良く分からない箇所もある。しかし、恐る恐る論を運んでいく手触りを「明快でない」と切り捨てることは出来ない。その「恐る恐る」こそが、村上と加藤が同時代に歩んだ態度であり、評価するところなのだから。今の村上に無いのは、この答えが分からない暗闇を進むことなのだという感触が加藤の批評から照射されてくる。
2023/02/27
astrokt2
未レビュー
2009/05/30
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