アレクサンドリア
アレクサンドリア / 感想・レビュー
ケロリーヌ@ベルばら同盟
「ペクトゥス・フェキト・ヒストリクム」歴史家を作るは心なり。ドロイゼンの座右の銘を冠せられた幻視の書。ダニエル・ロンドーは、栄華と頽廃が、地下に、海中に、混淆する人種に埋もれる街の記憶を、カヴァフィス、フォースター、ダレル等、個性的な文学者の作品を通して俯瞰する。若き征服王の深紅のマントが翻った起源の街、「万物の鏡」地中海の英知のあらゆる富が栄える図書館都市、民族離散を被ったギリシア人の喪われた祖国。再生と滅亡を繰り返す廃墟の街、見出されぬ栄光の街。去りゆく黄昏に言葉だけが残り、文学者の心に街の魂が囁く。
2021/04/22
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