中華幻紀―島尾伸三写真集
中華幻紀―島尾伸三写真集 / 感想・レビュー
猫風船
島尾伸三さんの中国写真集大成。巻頭頁の隅にちいさな活字で、「つましい両親と優しい妹が残した土地を売って、この本を作りました」とあります。涙。どのページを開いても、日常のなにげない空気のなかに、「どことなく脆くも崩れかねない危う」さ(飯沢耕太郎氏の島尾さん評)が漂っています。白昼に深淵を覗くかのような、というのは誇張かもしれないけれど、この島尾さん独自のシュルレアリスティクな世界観、私はとても好きです。県立図書館、市立図書館にも所蔵のない本書。リクエストに応えて購入してくださった高校の図書館に感謝します。
2012/10/14
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