ゲンロンエトセトラ #5
ゲンロンエトセトラ #5 / 感想・レビュー
Nobuko Hashimoto
最近我が家はうっすら東浩紀ブーム。観光、ダークツーリズム、スタディツアー、ミュージアムに関心があるので、いろいろヒントを得ている。この雑誌はそれらを特集。特集記事のみさらっと読んだが、後に刊行された、東浩紀『弱いつながり』『ショッピングモールから考える』古市憲寿『誰も戦争を教えられない』に発展、結実しているので、これから読む人はそれらを読まれるといいだろう。後ろの方の連載「プラハのカフカ・ミュージアムと「世界文学」の時代の文学館」も、短いレポートだが、最近の私の関心に重なっていて興味深かった。
2018/09/05
みのくま
いよいよ「福島第一原発観光地化計画」の序章が今号から始まった。速水健朗「よい子のためのツーリズム」の連載が開始。また東浩紀「テーマパーク化する地球」はのちの「弱いつながり」のプロトタイプになっている。他方、入江哲朗「情念の白い墓標」は残念ながら途中で連載終了に。唐沢財前の「白い巨塔」について予告のみで終わってしまったのは悲しい。松本直之「東方再考録」は興味深く読んだ。ドット絵から想像力を喚起する「ファミコン的想像力」など聞いた事がなかったがあまり普遍性はないかも。東浩紀×市川真人×高橋源一郎の対談は刺激的
2019/10/27
多分、器用です
興味順でしか読んでないけど、適度な分量ですごい内容もよかった。速水さんの新連載は、今後期待させてくれそうだし、東さんの現代におけるツーリズムの意義「検索するために旅に出る」ってのも、なんか自分もなんとなくそんな風に思っていて、クリアに理解できた感じ。
2012/11/07
keepfine
東・高橋・市川の鼎談が、震災後の(大文字の)「文学」(乃至文学者)の位置について分節化していてた。言葉には象徴的な何かを目の前に落とし込んでくる力がある。ある言葉が文法的に的確に過不足ない状態というのは、要は「言葉が世界をうまく整理し象徴できている状態」である。不可視の変数がなくならない状況では出来事が過不足なく言葉と一致することはありえない。特に震災後の社会について顕著だが、整った言葉で論ずるよりも、粗野であれ荒削りな言葉のほうが描き出せるものがある。これは平時においても十分に言えることだろう。
2015/12/18
誰パンダ
東浩紀「現実は物質的な現実と心理的な現実の相互作用で生まれるものなので、他者の心を操作することとか、あるいは自分自身の心が常に操作されていることには自覚的でないと、現実を動かすことはできない。 こういう啓蒙は、本当は文学者の役割でした。震災で見えてきたのは、日本の文学者はいつの間にか、そういった役割から完全に撤退していたということです。」鼎談『震災から文学へ』p43
2012/11/15
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