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宝ヶ池の沈まぬ亀 ある映画作家の日記2016‒2020

宝ヶ池の沈まぬ亀 ある映画作家の日記2016‒2020

宝ヶ池の沈まぬ亀 ある映画作家の日記2016‒2020

作家
青山真治
出版社
boid
発売日
2022-02-13
ISBN
9784991239106
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宝ヶ池の沈まぬ亀 ある映画作家の日記2016‒2020 / 感想・レビュー

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踊る猫

実に他人の訃報に鋭敏に反応しているな、と思った。梶井基次郎の小説の登場人物たちを思わせる鋭敏な感受性を、世界に向けてさまざまな事象に率直に(時に「率直すぎる」と思わせる危うさを以て)切り込んでいる。これが青山真治という人の衒いのない生の姿/生の声なのだろうなと思った。病を乗り越え、映画や音楽やドラマ、ニュースなどに触れて貪欲に吸収しようとしている。私自身、青山真治のこの年齢と同じ年になったらここまで貪欲でいられるだろうか。そう思うと彼の批評眼に敬服させられざるをえない。実にすさまじい日記である、と感服した

2022/12/12

急性人間病

青山真治は“古い人”である。彼がそう認める通りに。古さが人に及ぼす害は往々にして人が自分の古さを認知できない時に訪れるが、彼はなんとか認知できている己が古さにどうにか食いつき日々を過ごす。というより、認知せざるを得ない状況に日々打倒されている。繰り返される低血糖発作とアルコールの混迷、身体の機能不全、そして死せる人々と愛獣たちへの回顧がそれを物語る。その疲弊した重力と裏腹、彼は軽やかな趣味者、読者、観客、ミュージシャンでもある。身体の弾みさえつけば、それによってどこまで飛んで行けるような。あやかりたい。

2022/04/15

2023/09/02

r

某日、日付のない日記を読み終える。訃報を聞いたそのときから今までこの人のことばかり考えている気がする。残念ながらプライヴェートで謦咳に接したことはないが、いつからか生きる指針になっていた。彼のおかげで私は天皇制とヴェンダース、つまり日米を強く意識するようになったのだ。今は2冊目を読む気が起こらない。一生かけて紐解けばよい。

2023/01/28

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