汚れた歳月
汚れた歳月 / 感想・レビュー
HANA
散文詩風短編小説集。著者の作品は小路を辿る地獄への道行や森で出会った掌大の女騎士、奈落へ至るが如くのエスカレーターなど、どこか沈黙劇を思わせるものが多いのだが、本書を読むと最初期からその作風は確立していたのだなと思わせられる。むしろ一つ一つの物語が短く切り詰められた事によってそれが顕著になっているかも。静謐な絵画を思わせる中にありったけのエロスとグロテスクを詰め込んだ様は人を選ぶだろうが、一度その世界に魅入られたものは決して逃れる事は出来ないであろう。読む地獄、久しぶりに堪能させてもらいました。
2024/05/16
rinakko
散文詩風掌篇(コント)集。訳者の言葉によると、散文詩風幻像綺譚集。初期のエクリチュールでも、思いがけない夢想と幻視に眩暈する読み心地は流石だった。とりわけお気に入りは、レオノーラ・カリントン(「騎兵学校」)やレオノール・フィニ(「裁かれる快楽のパサージュ」、愛猫家のフィニを皮肉ったラストも好き)、ボナ・ティベルテッリ(「モーリアック嬢の入浴」)に捧げられた作品など。
2023/08/22
ふゆきち
散文詩っぽさもある最初期の短編集。すでにスタイルはできています。装丁も相まっていい雰囲気。
2023/04/17
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