今年の『このミス』大賞に輝いたのは驚異の古代エジプトミステリー!『ファラオの密室』白川尚史インタビュー
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2024年2月号からの転載です。 とんでもない設定の作品が第22回『このミステリーがすごい!』大賞を獲った。 時代は約3400年前の古代エジプト新王国時代、主人公にして探偵役は死から蘇った被害者本人。 特殊設定ミステリー流行りの昨今とはいえ、ここまで来たら究極である。新人賞にこの設定で挑んだ著者の度胸には、ただただ脱帽するばかりなのだが……。 取材・文=門賀美央子写真=山口宏之 「実は、第21回の『このミス』大賞にも応募していたんです。作品はかなりガチガチの本格クローズドサークルものでしたが、残念ながら1次すら通過できませんでした。がっかりしたものの、講評では『本格のセンスには光るものを感じます』というような評をいただけたので、その言葉を受けて考えたんですね。落選の理由はトリックそのものではなく、ドラマやキャラクター作りに問題があったのだろう、と。ですので、課題として、舞台設定も含めて“魅力的”と感じてもらえるなにかを配置しなければいけないと考えたのが、本作のスタートになりました。次に、戦略として、本格色は少し薄めようと思いまして。本当は…