ASKAと同時期に入院していたライターが考える、覚醒剤事件やブログ騒動の意味
『覚醒剤と妄想 ASKAの見た悪夢』(石丸元章/コアマガジン) ミュージシャン、ASKAの二度にわたる覚醒剤所持による逮捕劇は日本中を驚かせた(二度目は不起訴)。数々のミリオンセラーを生み出したスター歌手の起こした事件だったことに加え、逮捕後にブログで『700番』と題された手記を発表したのも大きい(投稿後、すぐに削除。加筆して書籍出版)。その内容が、典型的な麻薬常習者の妄想に合致していたからだ。『700番』への世間の反応としては、冷ややかな「嗤い」が大半だったと言っていいだろう。 しかし、『700番』を「大傑作」と賞賛する人も存在する。自らも覚醒剤体験を持ち、ASKAが依存症治療を行っていた施設で「仲間」だったというライターの石丸元章だ。著書『覚醒剤と妄想 ASKAの見た悪夢』では治療当時のASKAの様子や、覚醒剤が引き起こす感覚について詳細が綴られている。一般人には全く理解できなかったASKAの行動を分析しながら、「妄想」についての概念を更新してくれる内容となっている。 著者が脱法ドラッグの取材過程で依存症に陥り、東京近郊の精神病院に入院したのは2014年5月のこと。単調なリハビリが続…