芦田太郎さんが選んだ1冊は?「“あざとさ”を知ることは、人に対する想像力を育む手段でもあるんです」
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、芦田太郎さん。 (取材・文=吉田大助写真=山口宏之) テレビ朝日の芦田太郎さんは、『あざとくて何が悪いの?』など数々のバラエティ番組の企画・演出・プロデュースを手掛けている。もう一つの人気番組『あいつ今何してる?』も含め、彼が関わっている番組は、テレビ的には切り捨てられがちな、人生の細部のディテールを掬い上げており、どこか「文学」の薫りがする……と思っていたらやはり、小説の熱狂的な愛読者だった。 「大好きな作家はたくさんいるんですが、影響を受けたという意味では、村上龍さん一択です。中学1年生の時、哲学教授をやっている親父に『コインロッカー・ベイビーズ』を勧められたのがきっかけでハマり、エッセーも含めて本は全部読んでいます。例えば『希望の国のエクソダス』のストーリーは、一言でまとめると“中学生が80万人一斉に不登校して、北海道に独立国家を造る”。鳥肌が立つくらいに冴えたアイデアですよね。『才能とは危機感に支えられた意志』─村…