【京極夏彦特集】寄稿&インタビュー「拝啓、京極夏彦様」/石黒亜矢子さん
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年10月号からの転載です。 京極夏彦とはどのような人物なのだろうか。それは京極ワールドを楽しむ私たちにとって、永遠の謎である――! 京極夏彦さんと共に作品を作り上げた方々、またご親交のある作家の皆さまに、京極さんとの思い出や京極作品の魅力について伺いました。今回は石黒亜矢子さんです。 京極先生との出会いについて、私が一方的に存じ上げていたのをあげますと、20代後半の頃、地元の片田舎の文房具屋兼本屋さんで夏の京極夏彦フェアが開催されていたのがきっかけです。ズラッと並べられた京極堂シリーズの妖怪たちと京極夏彦という作者名に撃ち抜かれました。ほぼジャケ買いで『狂骨の夢』を手に取りレジに向かいました。 買った後にシリーズで順番があることを知りました。帰ってすぐに読み始めて、『狂骨の夢』の冒頭の文章の不気味なのに美しい描写にゾクゾクして、泣きそうになったのを覚えております。すごい作家を見つけてしまった……なんて思ってたけどすでに超絶人気作家でございました。そしてその何年か後に、京極先生から『豆腐小僧双六道中ふりだし』の装丁画のご依頼…