友達って何だろう。対等な関係、損得のない関係、心を許しあう関係。私には気の置けない仲間という言葉がいつもしっくりこない。どんなに親しくなった仲にも微かな緊張は…
文芸・カルチャー
2024/11/25
―時は令和。恋愛産業革命。 人々は運命の出会いを求めてインターネットの海へ旅に出た。― 一昔前までは何処の馬の骨かもわからない相手と会うなんて危険で愚かしいという…
文芸・カルチャー
2024/10/31
弟が生まれてから、私は弟を守る夢をみるようになった。マスコットのように小さくなった弟を抱いて逃げる夢。弟をいじめるヤクザやごろつきなどと戦う夢。 自分だって悪戯…
文芸・カルチャー
2024/8/25
したあとの朝日はだるい自転車に撤去予告の赤紙は揺れ 『発芽/わたくしが樹木であれば』(岡崎裕美子/青磁社) この歌にふれたとき、私はまだ中学生で朝帰りをしたことが…
文芸・カルチャー
2024/7/25
昔々、魔女にさらわれる夢をみた。黒いドレスを纏い、幾つもの宝石を輝かせる不気味な老婆。その恐ろしい姿が焼きついて、目が覚めても胸の高鳴りは消えなかった。そのう…
文芸・カルチャー
2024/6/25
子供の頃、母に叱られて家出を決意したことがある。しかし、勢いよく階段を下りていざ玄関に出ると、いつもと違うきんと張り詰めた空気に怖気付いてしまった。一旦は祖母…
文芸・カルチャー
2024/4/25
鮨が好きだ。世界中の食べもので一番好きかもしれない。海から獲れた有難き一切れを、酢飯で握って一口で味わう瞬間。もし毎日同じものを食べなくてはいけないとして、私…
文芸・カルチャー
2024/2/25
30歳を過ぎたあたりから恋の話を耳にしなくなった。大抵の同級生は結婚して落ちついているか、仕事に生きているか。好きな人の話で何時間も潰せたあの頃はどこへやら。話…
文芸・カルチャー
2024/1/31
あなたは幽霊の存在を信じますか? こんなふうに始まる文章で、書き手が「信じない派」であるパターンを読んだ試しがないのだが、斯くいう私は信じない派だ。 現実で霊的…
文芸・カルチャー
2023/12/25
私は幼稚園児時代に居酒屋でアルバイトをしていた。酔っぱらいの客にも慣れたもので「可愛い子ちゃん」「ヒューヒュー」とからかわれても、愛想よくあしらいテキパキと配…
文芸・カルチャー
2023/11/25